米Perplexityは5月29日(現地時間)、多機能かつ包括的なプロジェクト支援機能「Perplexity Labs」を発表した。これは、従来の「Deep Research」を発展させたもので、情報検索や分析にとどまらず、AIが実務の一部を代行する仕組みである。同日より、有料のProプラン加入者向けに提供が開始された。

  • Perplexity Labs

    「Perplexity Labs」はPro加入者を対象に、Web、iOS、Androidで提供を開始(MacおよびWindowsアプリでも近日提供開始予定)

「Search」が質問への簡潔な回答、「Deep Research」が数分間をかけた詳細な調査を担うものであるのに対し、「Labs」はプロジェクトの目的達成に必要な一連の作業、たとえばレポート作成、スプレッドシートの生成、図表や画像の作成、ダッシュボード構築、シンプルなウェブアプリの開発までを包括的に支援する。作業完了にはおよそ10分を要する。

以下は、調査テーマギャラリーに含まれる「NBAプレーオフの結果を予測するモデル構築」を実行した例である。入力した指示は「Build a predictive model for NBA playoff outcomes using team stats, injury data, and historical matchup trends」(チームの統計データ、負傷情報、過去の対戦傾向を用いてNBAプレーオフの結果を予測するモデルを構築)。

Labsは49ものソースを調査し、スポーツアナリティクス、機械学習(XGBoostやRandom Forestといったアンサンブル学習モデルを採用)を活用し、予測モデルを構築。チームのパフォーマンス指標、選手の負傷状況、過去の試合傾向などを統合し、実用的なインサイトを導出している。複雑なデータはグラフに視覚化されており、5月29日以降の展開がNBAファイナルの行方にどのような影響を及ぼすかを直感的に把握できる。フルレポートはこちら

  • NBAプレイオフ予測モデル

    「プレイオフ経験」(21.2%)が最も高い予測因子として重みづけされており、「ネットレーティング差」(19.6%)、「ホームコートアドバンテージ」(14.1%)に加え、チームの効率、試合ペース、直近の成績など複数の要因を組み合わせてモデルが構築されている。

さらに、ファイナル出場チームを入力することで、スタッツに基づくマッチアップ結果を予測するアプリも生成された。

同様の依頼をChatGPT(o3)のDeep Research機能で行った結果も紹介する。予測に役立つ一定の分析と参考情報は得られるものの、予測モデルの構築には至らず、グラフの自動生成、視覚的なダッシュボードの作成といった高度なアウトプットは提供されない。

日本語対応の確認として、「日本における近年の米価格の推移、生産量、需給状況、天候データに加え、2025年に実施されている政府の米不足対策の効果も考慮し、2025年下半期および2026年の米の需給を予測するモデルの構築」を依頼したところ、以下のような結果が得られた。

  • コメ需給予測モデル

    構築された予測モデルは、政府対策を「供給確保:8点(10点満点)」、「在庫正常化:9点(同)」と評価している一方、「消費者負担の軽減」は6点(同)で「 効果は限定的」と分析している

猛暑による収穫量減少、インバウンド需要の回復、投機的な買い占め、生産コストの上昇、構造変化といった現在の米不足に至る複数の要因を分析し、今後一年半の需給バランスを予測。さらに、天候シナリオ(楽観/ 基準/ 悲観)別に価格の推移を予測しており、報告書としての完成度は高い。フルレポートはこちら

Perplexityは「Labsを使えば、これまで何日もかかっていた作業や複雑な調査、各種スキルを要した調整作業が、わずか10分で完了する」と説明している。これまで同社のサービスが「知りたいことへの答え」を提供するツールであったのに対し、Labsはユーザーのアイデアの実現を支援する「チームのような存在」であると位置づけている。