
これから海外留学をする方、検討している方、海外の情報を読んでみたい方に向けて、大学生のみなさんが留学先からリアルな情報をお届けする『study abroad report』。
今回は韓国の高麗大学に留学し、韓国語を学びながら東アジアの国際政治、特に日韓関係や韓国の外交に関する勉強をしている Koheiさんから情報をレポートしていただきました。本記事ではKoheiさんが現地で生活するなかでお友達に聞いた「おすすめの本5選」をご紹介します。
※2025年1月現在の情報です。
レポートしてくれるのはこの人
Koheiさん
慶應義塾大学在学。日本の大学では法学部で政治学を専攻。東アジアの国際政治、特に日韓関係について勉強しており、現在は韓国語を習得しながら高麗大学に1年間留学し、韓国の外交や東アジアの国際政治に関する勉強をしている。
Instagram:@kohei.0627
皆さんは、韓国の作家さんが書いた本を読んだことがありますか?
2024年には韓国の作家ハン・ガン氏がノーベル文学賞を受賞したニュースが話題になりました。韓国では、いたるところで本を通したイベントが行われていたり、K-POPアイドルのおすすめした本が度々SNS等で話題になったりしています。
今回は、韓国の大学生に聞いた「おすすめの本」を5冊ご紹介したいと思います。
『피프티 피플』정세랑/『フィフティ・ピープル』チョン・セラン
1冊目は 『피프티 피플』(フィフティ・ピープル) という小説です。この小説はタイトルのように、主人公が一人ではなく、50人登場し全50編で構成されています。一つの病院に関わる人たち──医者、看護師、患者、患者の家族、警備員など──さまざまな人々に焦点が当てられており、それぞれの人々が置かれた困難や突然の出来事、抱える悩みが、今の社会が直面している問題と密接に関わっています。その多様な視点を通して、今あなたが感じている痛みや苦しみは決してひとりのものではなく、私たちの社会がともに乗り越えるべきものだというメッセージを受け取れるそうです。この本を紹介してくれた友達は、地下鉄のような人が多く集まる場所に行くと、皆どんな背景を持っていて、どんなことを考えながら生きているのか気になることが多かったので、この本がより一層面白く感じられたそうです。
『작별인사』 김영하/『別れのあいさつ』キム・ヨンハ
2冊目は『작별인사』(チャクピョリンサ)というSF小説で、このタイトルは日本語で「別れの挨拶」や「さよなら」と訳すことができます。主人公のロボットが「親孝行」な「家族」のような、人間にあるがロボットにはない概念を理解しようとする話で、最近のChatGPTのようなAIが生活の中に当たり前になってきている時代とすごく合っている小説です。人工知能に対する、漠然としているが現実になっていく未来への不安や恐怖を独特な視点で描かれているそうです。
また、この作家は韓国でとても有名な人らしく、ほかの本は映画化されるほど人気があって、テレビにもたくさん出ているような人だそうです!
『우리가 빛의 속도로 갈 수 없다면』 김초엽/『わたしたちが光の速さで進めないなら』キム・チョヨプ
3冊目は『우리가 빛의 속도로 갈 수 없다면』(わたしたちが光の速さで進めないなら)というSF小説です。2冊目の作者、김영하(キム・ヨンハ)があらゆる世代に知られている作家だとしたら、この本の作者、김초엽(キム・チョヨプ)は最近の若い世代に人気のある作家で、LE SSERAFIMのようなK-POPアイドルとコラボするほど、感性や文体が“今っぽい”スタイルだそうです。この本は7つの短編SF小説で構成されていて、どの話も暗い未来の話というよりは温かく、読む人を慰めてくれる本だそうです。また、各短編の主人公の中には社会から疎外されがちな人たちも多く、この本を紹介してくれた友達は視野が広がる感覚がありとても良かったそうです。
『공간과 장소』이-푸 투안/『空間の経験』イーフー・トゥアン
4冊目は中国天津生まれの中国系アメリカ人地理学者、イーフー・トゥアンの『공간과 장소』(空間の経験)です。1977年に初めて出版されて以来、今日まで読者が絶えない人文地理学の古典だといわれています。著者はこの本を通じて空間と場所は明確に異なると主張し、空間に愛着が沸き、意味と価値が付与された時、それが場所になるという
人間中心の「人間主義的地理学」という考え方を重要視しています。この本を紹介してくれた友達は地理学科に所属していて、地理学を学ぶ人として空間と場所、そして位置についてもっと考えさせられるように助けてくれた本だと言っていました!
『구의 증명』최진영/『クの証明』チェ・ジニョン
5冊目は『구의 증명』(クの証明)という小説です。幼い頃から一緒に育ってきてお互いに愛し合う女性主人公のダムと男性主人公のクを中心に物語が進んでいきます。ダムはクに対し、あなたが死んだら私も死ぬと宣言していましたが、いざクが亡くなると、ダムはクの存在を証明するために彼の遺体を食べる決断をします。
この本を紹介してくれた友達は愛とは何かについて、生と死とともに深く考えることができてよかった、社会的正しさというものが果たして存在するのかという質問を自分に投げかけるきっかけになったと言っていました!
まとめ
今回は韓国人の大学生に聞いたおすすめの本を5冊ご紹介しましたが、読んだことのある本はありましたか?私はどれも友達に教えてもらって初めて知りましたが、特に1冊目の『フィフティ・ピープル』は50人もの人にスポットが当たっていて、それぞれの人物がどのように描かれているか気になるので、早速読んでみようと思いました!日本語訳が出ているものもあるので、興味があれば読んでみてくださいね。(日本でも韓国語の本が買える本屋さんやオンラインストアがあるので、ぜひ原語でもチャレンジを!)
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文・写真:Kohei
編集:マイナビ学生の窓口編集部 ろみ