次世代半導体パッケージ基板として期待されるガラス
東京大学(東大)は、半導体基板用ガラスへの極微細レーザー穴あけ加工技術を開発したことを発表した。
同成果は、同大 物性研究所の小林洋平 教授(兼 同大学光量子科学連携研究機構)、乙津聡夫 特任研究員、遠藤翼 特任研究員、AGC 電子カンパニー ASPプロジェクト 技術開発グループの佐藤陽一郎氏、技術本部 先端基盤研究所 機能化プロセス部の柴田章広氏らによるもの。詳細はアメリカ・ダラスで開催された国際会議「ECTC2025」で報告された。
半導体の高性能化として注目されるチップレットなどの先端パッケージング技術を中心に、パッケージ基板の材料を従来の樹脂からガラスに置き換えようという動きが活発化してきている。ガラスは高周波特性が良く、大面積でも平坦で、かつシリコンと熱特性を合わせることができるという特徴があるが、回路基板の表と裏をつなぐ配線を形成するために脆弱材料のガラス基板に多数の穴を貫通させる必要があり、ひび割れなどの課題があった。現状、ガラスへの微細な穴開け手法としては、エッチングもしくはレーザーが用いられるが、双方ともにメリットとデメリットがあり、技術的にはまだ確立した段階にはなく、世界的にガラスへの微細かつ高アスペクト比の穴開け加工技術の研究開発が進められる状況となっている。
レーザーで直径10μm以下の穴の形成に成功
今回、研究チームはAGCより提供された電気的・熱的特性が優れるガラス基板「EN-A1」に対して、超短パルスの深紫外レーザーを用いることで、ガラスに直径10μm以下の穴を貫通させることに成功したとする。